ガリレオ

昨日までこの世になかった……“超常”独走だ！？　ドラマ「ガリレオ」高視聴率の秘密

　●異例の宣伝戦略　原作の魅力に豪華ゲスト
　フジテレビ系月曜午後９時のドラマ「ガリレオ」が、秋の連続ドラマの中で平均視聴率２０％を超す独走状態となっている。東野圭吾の原作や出演者の人気に加えて脚本、演出、宣伝と要素がそろった上でのヒットだ。

　▽映画化も
　ドラマは、東野の「探偵ガリレオ」「予知夢」が原作。“ガリレオ”こと物理学者で大学准教授の湯川学（福山雅治）が、所轄署刑事の内海薫（柴咲コウ）から持ち込まれる超常現象のような事件の謎を解いていく。

　４年半ぶりドラマ出演の福山は柴咲と初共演。初回２４．７％の高視聴率（関東地区、ビデオリサーチ調べ）をたたき出すと、フジはすかさず、東野のガリレオ・シリーズ第三弾、直木賞受賞作「容疑者Ｘの献身」を、同じキャストで映画化すると発表した。

　「オファー殺到の中で映画化の権利を得られたのは、一連のプロジェクトとして提案できたことが勝因」とフジの亀山千広常務。以前から、ドラマそして映画へと作り上げていく構想を東野側に提案してきたという。

　▽発　見
　ドラマは原作通りというわけではない。原作で湯川に謎解きを依頼するのは親友の男性刑事。ドラマでは、華とふくらみをもたらすため、単行本化はまだされていない東野の新作に登場する薫に、湯川とコンビを組ませることにした。

　脚本家は、ドラマも映画も大ヒットした「ＨＥＲＯ」の福田靖。「『ガリレオ』は原作を読む分には大変面白いですが、ドラマにしてくださいと言われると困りました。何か発見しなければ絶対にできないと…」

　その福田が“発見”したものとは、初回、湯川が薫に「例えば君が犬のうんちだとしよう」と淡々と語りだし、薫が膨れっ面で不快感を示す一連の掛け合い。

　２人の距離感が規定された場面だ。「感情に興味はない」と言う“変人”湯川と熱血型の薫。福田は「あの会話ができた時、初めて何かをつかんだと思った」と語る。

　謎の正体が「共振現象」だった第三話では、最後に薫が号泣する場面で、２人の心にも共振が起きたことを思わせるなど、心憎い構成もある。

　演出はフジのエース格、ドラマ「白い巨塔」などの西谷弘。柴咲は「西谷監督は朝４時でも（演技に）ダメ出しします」と嘆いてみせつつ「充実してるので没頭してます」と笑顔で語る。福山も「苦労や努力が報われる、いい作品が撮れている」と信頼を寄せている。

　▽コラボＣＭ
　福山がクランクインより先に、湯川として旭化成のＣＭに出演するという異例の宣伝戦略も敢行。フジ側の提案で実現し、ドラマ開始の１カ月前から、本編の一場面のようなＣＭが流れた。

　「コピーの『昨日まで世界になかったものを』との企業メッセージがそのまま番組コンセプトで、それこそ『昨日まで世界になかったＣＭ』」と語るのは、このＣＭを手掛けた平山浩司クリエーティブディレクター。

　ドラマは１話完結で、毎回事件に絡む人物として唐沢寿明、広末涼子、香取慎吾ら豪華ゲストが登場。話題が途切れることがなさそうだ。

＝2007/11/20付 西日本新聞夕刊＝
2007年11月20日16時38分

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